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PWAで店舗の顧客体験に変革を

昨今、Webサイトのユーザー体験を向上させる新技術としてPWA(Progressive Web Apps)というキーワードをよく聞くようになりました。

ものすごく簡単に言うと、スマホアプリで実装するしかなかったプッシュ通知やオフライン環境での情報提供を、Webサイトで実現出来てしまうというものですね。

店舗によってはBeaconを店内に配置して、アプリと連動させるなんてこともしているかもしれませんが、それもアプリを開発しなくとも、Webサイトで実現できる可能性があるわけです。

PWAがなんであるかの概念や技術的側面について解説してくれている記事はたくさんあるので、ここでは「PWAが小売業界の顧客体験向上にどう活かせるのか」という点を特に取り上げてみたいと思います。

PWAの仕組みを理解できるおすすめ記事

アプリは必要?PWA・AMPに見る次世代モバイルサイト

【一問一答】「プログレッシブウェブアプリ」とは何か?:ネイティブアプリとウェブのハイブリッド

ビジネスマンにも分かるGoogle Developers Summit Tokyo 2016

開発方法については、PWAを提唱するGoogleのページが参考になります。

はじめてのプログレッシブ ウェブアプリーGoogle Developers

PWAが出来るとリアル店舗にとって何がよくなっていくのか?

①顧客が知りたい情報を、より多くの顧客に、適切なタイミングで届けられる確率を高められる

PWAではこれまでアプリでしか実現できなかったBeaconやGPSといった位置情報に基づく情報提供も出来る可能性があります。

そもそも店舗独自のアプリをインストールしてもらうハードルが高い中で、アプリにそんな機能を実装していても、ユーザーに利用されずに終わる可能性も高いです。
PWAのようにWebベースで、QRコードや友達からのLINEのURL共有などで気軽に使い始めることができるのは、利用のハードルが下がり、より多くのユーザーに、適切な情報を送り届けることが出来るわけです。

外国人観光客も、一回の来日で、わざわざアプリをインストールしないと良いサービス受けられないとか敷居も高いですし、異国の地の見知らぬお店のアプリをインストールするのもセキュリティ面からやや不安にもなりそうです。
Webサイトで気軽にサービスを享受できるほうが顧客体験としてもよいことでしょう。

②アプリとWebサイトでの分断されたユーザー行動分析の手間が省け、データ分析からよりユーザーに適切なコンテンツ設計をしやすくなる

アプリとWebサイトでアクセス解析ツールは異なることが一般的かと思います。それぞれのデータをBIツールなどで統合すればユーザー行動を追えるかもしれませんが、それはそれで手間もコストもかかります。
もしPWAによりアプリ機能をWebサイトで代替できれば、Webサイトのアクセス解析ツールだけで、オンラインとオフラインのユーザーの行動分析を行える日が来るかもしれません。

ただし、PWAはアプリ的なUIになる点からURLを意識しない構成になりやすいようで、その状況下においてもWebサイト のアクセス解析ツールが対応できるかは今後が気になるところです。

参考: Web開発者は本当に対応するべきか? Googleが提唱するPWAとは?

③今までアプリを開発したくても、手を出せなかった企業や店舗が同様のことをもっと気軽にできる(かも?)

ネイティブアプリ開発はiOS、Androidのそれぞれのプラットフォーム用にアプリを開発する必要があり、その検証作業にも労力がかかったりすることや、エンジニアに高いプログラミングスキルが求められることもあり、開発コストと時間を要してしまいます。
iOSに至っては審査もあり、度重なる修正に追われ、思わぬコストがかかったりもします。
こうなってくると、アプリ導入を見送る企業も出てきますね。

PWAをうまく活用できれば、Webのエンジニアも参入しやすく、複数のプラットフォームごとに別の言語で開発するなんて必要も、アプリの審査も無くなります。コストも時間も削減しつつ、アプリに近いサービスをユーザーに提供できる可能性を秘めています。

とは言え、PWAも新たな技術である以上、勉強コストや新たな運用スキーマの制定が求められるので、具体的にどのくらいネイティブアプリよりもコストを抑えられるのかは、実際に試してみないとなかなか判断がつきにくい部分です。

その点において、まだSafariがPWAのコア技術であるService Workerに対応していないことが、直近で日本での事例を増やしづらくしている要因と考えられていたりもするので、なかなか歯がゆいところです。

実際の導入事例は?

日本では不動産情報サイトのSUUMOが導入しているようです。

SUUMOスマホサイトへのService Worker導入 ① add to home screen 編

SUUMOについては、Google Developers Summit Tokyo 2016でも紹介があり、以下の成果があったようです。

PWAを利用していないユーザーを100%とした場合にPWA利用者はCVR118%の成果を上げている
オフラインキャッシュ機能についてもナレッジを蓄積していて、PWAによるキャッシュ機能利用時は、0.8475ms -> 0.2019msと表示速度を4倍
ウェブの世界であったとしてもユーザーが必要な情報をいち早くユーザーにあった情報を提供(アプリのダウンロードをしなくても)し、かつ受け取った情報の閲覧時の快適さをもPWAをフル活用して実現させるのがGoogleのいうUXになります。

引用元: ビジネスマンにも分かるGoogle Developers Summit Tokyo 2016
※上記サイトにはSUUMO以外にも海外の事例をまとめてくれていました。

まとめ

Webはもう古いとかいう声も最近出てきたりしますが、
PWAがもし普及すればそんなのは不毛な議論になりそうです。

Webが古いではなくて、水やガスのようなインフラとして当たり前になった後の、次の段階に来ているのかなという感じがします。

世の中には膨大なアプリが存在しますが、プッシュ通知するためだけや中身はほとんどWebビューだけだったりする、何のために作られたのかよくわからないアプリが多数存在します。

やっつけのアプリを無理矢理リリースして、ダウンロード数に一喜一憂し、顧客体験の向上が後回しになるくらいなら、Googleも言うように、ユーザーが必要な情報を、いち早く、ストレス無く、アプリをわざわざインストールしなくても受け取れるUXを実現してもらえるといいなと思います。

泉 隆之
朝ドラの脚本家として夢を追いかけ続ける彼はIMJでも才能を存分に発揮し、敏腕ディレクターとして数々のドラマを創出してきた。大手メーカー、エンタメ事業会社、商業施設等でサイト構築&運用・店舗送客施策に携わる。新卒で入社した会社ではデザイナーながらお米の販売営業をするという不思議な体験も。真面目なことからユニークなことまでなんでも挑戦する心構えが備わっている。