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映画/ドラマ/アニメのロケ地巡りの熱量を小売に展開できないか?

近年テレビドラマ・映画・アニメのロケ地へ足を運ぶ観光客というのが、地域経済に大きな影響力を及ぼすようになっています。特にアニメにおいて「聖地巡礼」という名のロケ地巡りを目にする機会が増えてきました。

膨大な数のファンを、地方でも、はたまた海外にまでも向かわせてしまうほどの、ロケ地巡りが持つパワー。
店舗送客というマーケティング上の課題を多くの小売業界の企業が抱える中で、その課題解決のヒントが隠されているように思えます。

そのヒントを探るべく、ロケ地巡りについて少し調査してみました。

最近のロケ地巡りに関するニュース記事4つ

1. 「君の名は。」特需、聖地沸く 映画3作品の舞台・岐阜: 朝日新聞デジタル

2. 「アニメ聖地」観光資源に 経済効果20億円超も、埼玉: 産経フォト

3. 「佐賀へ行きタイ」 タイ人客が激増: 佐賀新聞LiVE

4. いまだ衰えぬ“冬のソナタ”効果、ロケ地に観光客180万人が押し寄せる―韓国: Record China

タイ人のインバウンドを狙ってロケ地誘致を行い、息の長い神社人気につながっていること、そして冬のソナタも、ずっと息切れせずに、ファンを寄せ続けていること。

Google Mapでロケ地を見ようと思えば見られる時代であっても、
人を現地に向かわせてしまうロケ地というコンテンツを活用することには地域の小売業にとって救世主となってくれる可能性を感じます。

ロケ地でのプロモーションやタイアップは?

ロケ地で作品にあやかったキャンペーンやタイアップなどは具体的にどのようなことが行われているでしょうか?
2016年11月においては、実写の映画・ドラマで以下のようなキャンペーンが見つかりました。

1. 逃げ恥横浜巡りキャンペーン|TBSテレビ:火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』

2. ロケ地横浜タイアップ情報|映画『さらば あぶない刑事』公式サイト

3. 大津×あわら×府中 映画「ちはやふる」ロケ地巡礼キャンペーン

どれも、ロケ地に足を運ぶことで特製グッズがもらえるという企画のようですが、全体的にコンテンツの持つ力を活かしきれてない印象があります。

「逃げ恥」が、ロケ地じゃなくても普通に観光で訪れてしまいそうなホットスポットの案内で、しかもそれが実際にドラマの中で登場した場所なのか確認できません。
「ちはやふる」も国内3都市の観光案内所でのスタンプラリーになっていて、このような形だと物語の“ディテール”に触れる機会が少なく、ファンの没入感が弱いと私は考えます。

その点が解決できていれば、もっと地域のお店に足を運ぶ機会が増えたり、1日だけでなく、泊りがけでじっくり時間をかけてその土地を楽しもうという機会にも繋がるのではないと思います。

この点については、デジタルを活用したロケ地巡りで一捻り加えてくれています。

デジタル活用で経済効果アップ?

デジタルを活用したロケ地巡り事例としては以下のようなものが見つかりました。

1. 『君の名は。』で注目 「聖地巡礼」に便利なサービス5選: R25スマホ情報局
ロケ地に行くと登場人物がARで登場して記念撮影ができたり、
スマホアプリにBeaconによる位置判定を用いたスタンプラリー機能を実装して、ロケ地をコンプリートする楽しみを提供していたりします。

2. 映画『聲の形』×大垣市 オリジナルノベルティ(非売品)を300名様にプレゼント 「聖地巡礼マップ」、「映画『聲の形』スタンプラリー in大垣市」を9月2日より開催: ORICON STYLE
このBeaconによるスタンプラリーは、どうしてもアプリインストールが必要なので、それも将来的に技術が発展して、ブラウザでもできると、開発コストも抑えられて、より多くの作品での利用機会を増やせそうな気がします。

このようなことが出来れば、市販の観光本には載っていない、物語ベースの観光をするようになり、今まで本に載ることのなかった店舗にまでユーザーが訪れてくれる機会だって生まれそうです。

今後期待すること

ロケ地巡りをなぜするかといったら、やはり物語の世界へ浸りたい、没入したい、追体験したいからだと個人的には思っています(※後述:「おまけ:実際にロケ地に行ってきた話」)

参加者がより深く物語の世界に没入し、高い高揚感を得るのに、新しいテクノロジーが大きく貢献してくれる可能性があります。それはつまり、より一層観光としての魅力を高めることに繋がると思います。

ドラマの中の名シーンの場所で、どこに俳優がいて、どっちを向いてあのポーズを取っていたのかということがARでわかるようなリアリティがあると、参加者が主人公になりきり、一層の没入感を得られるかもしれません。

この場合、ARだとスマホかざしてみたいな行為が、没入感の妨げにもなるので、MR(Mixed Reality)の方がいいかもしれませんね。


(MRもしくはスマホで目の前を見たイメージ)

ロケ地のスタンプラリーは主要スポットに限らずに、実際に登場したシーンはすべて網羅していてほしいくらいです。

スマホ上の地図で各場所をタップすると実際のシーンを動画ですぐに確認できたりすれば、近づくたびにテンションが一気に上がってきます。

その行動文脈の中で、現地の名産物や、おすすめのスポットなどをレコメンドされたら、その地域に強い繋がりを感じた中での提案なので、とても受け入れやすいものとなります。

この手の話にはO2O文脈でポケモンGOもチラついてきます。
あの場合は、モンスターと出現地点に何の関連性もなく、ARが現実世界に馴染んでない(その必要もない?)ことから、私はイマイチ世界に没入しきれませんでした。

その場所じゃなきゃいけない絶対的な理由があり、いろんな妄想があり、AR(もしくはMR)される必然性がある、そんな唯一無二のコンテンツであるロケ地巡りという楽しみと比べると、どうしても物足りない感じがしてしまうのです。だからこそ、ロケ地巡りというコンテンツにとても強いパワーを感じるのです。

物語の中に店舗を登場させてもらうことはなかなか現実的に難しいことかもしれませんが、「主人公の友達の◯◯太郎が、よく食べていた干し柿を売っている店」、「アニメ◯◯の世界の人達が現実にいたら、みんなこのスーパーで買い物するしかない」とか、位置情報を元に、こんな感じの次なる“ささやかなロケ地”を知ることができるだけでも体験は変わります。これがディテールとなり、現場での没入感は増大されるからです。

世界に誇るコンテンツを持つ日本だけに、海外の観光客も見据えて、ロケ地のデジタル活用で盛り上げていけるといいなと思います。

おまけ:実際にロケ地に行ってきた話

私自身がドラマが大好きで、ロケ地に行ってしまうので、ロケ地巡りの面白さを知らない人のためにもちょっぴり紹介します。

NHK朝ドラの『あまちゃん』(2013年)ロケ地の岩手県久慈市

まずは、能年玲奈主演のあまちゃんですね。
写真は三陸鉄道北リアス線「堀内」駅ですが、ドラマでは「袖が浜」駅となっていて、この日は特別にドラマの表記で看板が出ているあまちゃんデーでした。ファンが世界に没入する上ではこの上ない演出。
ここで橋本愛演じる足立ユイが、線路の先にあるトンネルに向かって「アイドルになりたーい」って叫ぶ名シーンがあるんですよね。ユイが立っていた場所に、自分も立てる時のワクワク感というか没入感がね、ほんとヤバイんですよ。

フジテレビ月9『SUMMER NUDE』(2013)ロケ地の千葉県いすみ市
元NEWSの山下智久と香里奈が主演の月9ドラマ「SUMMER NUDE」。

千葉県南房総市に行くと、ロケ地案内マップが置かれていて、一気にテンションが上がったものです。ドラマのロケ地って結構広範囲で、全部回るのに丸一日はかかることがほとんどです。
泊まりで行って、初日に夜通しドラマ見ながら感想述べあうというのも、やってみたい!(←未達成)

この時は潮風王国という商業施設にて、期間限定でドラマで使われていた小道具が見られたりする粋な計らいがされていました。これもロケ地巡りする一つの楽しみです。実際にこの前に山ピーや香里奈が立っていたと想像する時のあの楽しみがね、ほんと没入感。

今後「コンテンツツーリズム」「フィルムツーリズム」「シネマツーリズム」というロケ地巡りに関連するキーワードに着目し、「ロケ地」✕「デジタル」に関連する話題を取り上げていきたいと思っています。

泉 隆之
朝ドラの脚本家として夢を追いかけ続ける彼はIMJでも才能を存分に発揮し、敏腕ディレクターとして数々のドラマを創出してきた。大手メーカー、エンタメ事業会社、商業施設等でサイト構築&運用・店舗送客施策に携わる。新卒で入社した会社ではデザイナーながらお米の販売営業をするという不思議な体験も。真面目なことからユニークなことまでなんでも挑戦する心構えが備わっている。
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